(6)矯正治療で歯を抜くことがあると聞きましたが?
矯正治療の診断の基本は、まず抜かずに治療できるかどうかを検討するところから始まります。最終的に必要があれば抜歯という結論に至ることがありますが、かならずしも矯正=抜歯ということではありません。人それぞれ口元や歯並び、骨格のバランスが違いますので、個人個人に応じてその結論を出さなければならないのです。
また、抜歯するのは通常小臼歯という歯ですが、出っぱっていたり、デコボコがあるなどの症状の目立つ歯を抜くのではなく、最終的に良いかみ合わせができるように考えて、抜く歯を決めるので、歯を動かす方向や量、歯の数、形、大きさ、歯の健康状態などにより色々なバリエーションがあります。抜歯をした隙間は歯を動かして閉じるので、治療後に隙間が残ることは特別な場合を除いてありません。
抜歯が必要な不正咬合は一般的には次のような場合です。
(1)デコボコのひどい歯並びでは、歯と顎の大きさの釣り合いを取るために抜歯が必要です。
もし、デコボコのひどい症例を歯を抜かないで直したらどのような口元になるでしょうか?
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上記の図のようにもし歯を抜かないで治療した場合は、上と下の歯の傾きが唇の方向に倒れてしまい、これではせっかく歯並びを整えても、口元が突出して口が閉じづらい状態になってしまいます。
歯を抜くことによって、すき間ができた部位に前歯を移動させることが可能となり、口元の突出感も変化するのです。
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(2)出っ歯の場合、上顎の前歯を後へ、下顎の奥歯を前へ動かして全体のかみ合わせを良くする場合に抜歯が必要です。
(3)受け口の場合、下顎の前歯を後へ、上顎の奥歯を前へ動かして、全体のかみ合わせを良くする場合に抜歯が必要です。
歯を抜く理由ばかりをお話ししましたが、抜いたとしても心配はないということが言いたかっただけで、抜かないですむのならそれにこしたことはありません。歯のサイズ、顎の大きさ、歯並びの拡大の可能性、歯の位置、口元のバランス、年齢などによって異なりますが、少なくとも乳歯と永久歯の混在している混合歯列の時期(6〜10歳)に、一度矯正専門医に相談をするべきだと思います。早い時期であれば、それだけ色々な手段が選べるし、成長も利用できるので、抜かないですむ確率が高くなるからです。
また、口の一番奥には親知らずと呼ばれる歯があり(前から数えて8番目の歯)、この歯を噛み合わせに取り込むことができる場合があります。そのため、もし前から4番目の上下4本歯を抜いたとしても親知らずを咬合に取り込むことが出来れば歯の本数としては変わらずに治療が可能となります。
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特に矯正治療を考えている成人の方の場合は、一般歯科医と検討の上、抜歯について考えるようにお願いします。
<参考>親知らず(智歯)について
Q1 なんで親知らずって言うの?
親知らずは別名智歯と呼ばれています。かつて人間の寿命が短かった時代に、この歯が生えるころには親がいないとか、知恵のついたころに生えてくることから命名されたと言われています。
この歯は歯列の1番奧に16,17〜20才頃にかけて生えてきますが、現代人のアゴが小さくなるにつれて、この親知らずが生えるスペ−スがなくなってきました。現在では、進化による過程で歯胚が出来ず、親知らずがもともと無かったり、スペ−スがなく生えることが出来なくて抜歯したりするため、約半数の人が1本以上の親知らずを失っていることが分かっています。
Q2 親知らずはどうして斜めに生えてくるの?
親知らずを持っていても、アゴの奧に十分なスペ−スがあれば、第3大臼歯として噛み合わせに取り入れることが可能です。しかし、16才までにアゴが十分に発育していないと生えるすき間が無いため、アゴの骨の中に埋まった状態になります。なぜ斜めなのかという理由は、親知らずは生えてくる方向が噛む面に対して垂直ではありません。斜めに生えてきて、アゴの奧に十分なすき間がある場合には、噛む面に対して垂直に起き上がってくるのです。スペ−スが無い場合には起き上がってくることが出来ないので、噛む面が横になって生えてくる場合や、歯肉や骨にもぐったままになってしまう場合が多くなります。
Q3 親しらずはどうして抜くことが多いの?
親知らずの生えている状況によって異なりますが、一般的には以下の3つを考えて抜歯をお奨めしています。
(1)むし歯
前に倒れている親知らずと1番奥歯のすき間に食べかすが入り、むし歯になりやすくなります。特に上の親知らずの場合は頬の方向に後ろを向いて生える場合が多いので、磨き忘れが多くなり、むし歯になりやすくなります。
(2)歯並びへの影響
矯正治療をして、せっかくきれいに並んだ歯並びを、親知らずが後ろから押して前歯をデコボコにすることがあります。
(3)智歯周囲炎
親知らずと上にかぶっている歯肉との間にばい菌がたまり、歯肉が赤く腫れて痛くなることがあります。赤く腫れて炎症が起こっているときは親知らずを抜歯することが出来ないので、消毒したり、抗生物質を飲んで炎症が治まってから抜歯処置を行うことになります。
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